ちゃぶじょ5周年記念オンラインイベント「私たちが社会を変え続けるために~フェミニズムの今までとこれから~」報告記事

今年2020年、ちゃぶ台返し女子アクション(以下「ちゃぶじょ」)は、発足5周年を迎えました。発足当時から今までの5年間を振り返ると、社会ではジェンダー問題に対する関心が高まり、また、若い世代を中心に「自分たちで社会を変えていこう」という想いから巻き起こった新しいムーブメントがますます増えてきたように感じます。ちゃぶじょは、フェミニズム運動の長い歴史の中で、主にコミュニティ・オーガナイジングの手法を使って、草の根のキャンペーンや変化を起こしてきました。

5周年という節目を迎えるにあたり、ちゃぶじょは、改めて自分たちを、そして、新たにアクションを起こそうとする人々をエンパワーする場を作ることにしました。かくして、2020年9月27日(日)に、ウィメンズマーチ東京実行委員代表の濱田すみれさんをお招きし、オンライントークイベント「私たちが社会を変え続けるために ~フェミニズムの今までとこれから~」を開催しました。当日のレポートをお届けします。

第一部:濱田すみれさんによる講演『わたしのフェミニズム運動』

本イベントは、一部と二部に分けての開催となりました。一部は“濱田すみれさんによる講演『わたしのフェミニズム運動』”、二部は“トークセッション 濱田すみれさん×大学生『世代をつなぐアクティビズム』”が目玉のプログラムです。

第一部は、ちゃぶじょメンバーさくさくによる開会の挨拶によって幕開けとなりました。誰にとっても安心して参加できる場作りのために設定したグラウンドルールを確認した後、いよいよメインプログラムです。ご自身の経験や活躍を通し、濱田さんが近年感じている想い、そして、その想いがフェミニズムの歴史の中でどのように紡がれているのか、そのストーリーを共有していただきます。

さくさくからバトンを渡された濱田さんは、「新型コロナウイルス感染症の影響下でも、このように皆さんとオンラインで繋がることができるのは、本当に嬉しいことです」とご挨拶。まずは自己紹介をしていただきました。

濱田さんがフェミニズム運動を始めたのは、およそ10年前。ジェンダー平等に取り組むNGO「アジア女性資料センター」スタッフとして東京で勤務した後、今年からは岩手県に移られ、現在、地元の大学に勤められています。また、ウィメンズマーチ東京実行委員の代表、日本国憲法24条改悪に対する「24条変えさせないキャンペーン」実行委員や、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める「女性差別撤廃条約実現アクション」世話人などの肩書を持つ、日本のフェミニズム・アクティビストです。

フェミニズム運動の歴史についての基礎のレクチャーをしてくださった後は、濱田さんが今まで関わってきた、そして、現在も関わっている活動についての紹介です。日本のフェミニズム運動は、これまで、たくさんのフェミニストたちが失敗と成功を繰り返しながら積み重ねてきたものでありながら、今のような男性中心の社会ではそれらの功績は無いものとされがちであり、ほとんど記録が残されない現状があるということです。「ですので、今日は、将来教科書に載ることはほぼないと思われる、私や仲間のフェミニストたちが実践してきた日本のフェミニズム運動について皆さんに共有します」と話す濱田さんからは、理不尽な現状にも決して屈しないアクティビストの強い精神を感じました。

お話を通し、濱田さんがフェミニズム運動の中で特に重要視している要素がいくつか浮かんできました。

例えば、“若者の参加”。今でこそ、活発的に運動を展開している濱田さんですが、かつては「自分に精いっぱいで、社会について考える余裕も機会もなかった」時代もあったそうです。きっかけとなったのは、やはりNGOでの勤務であり、当時、様々なフェミニストに出会い、その時に感じた彼女らの知識の豊かさや優しさは「今でも目標です」と語ります。その上で、濱田さんが大切にしているのは、若者がフェミニズムに触れる機会。上の世代のフェミニストから一方的に教えてもらうだけではなく、若者たちがつながり、自主的に学び合うことを重要視します。濱田さんがアジア女性資料センターの中に作り上げたユースグループは、当時、日本では貴重な若いフェミニストたちが集う場所であったそうです。ユースグループに所属することによって、「運動の基礎体力を作ることができました」と濱田さんは笑顔で語りました。

次に濱田さんが取り上げたのは、“「慰安婦」問題”。活動を通し、日本人のフェミニストが最も向かい合わなくてはいけない問題であると語ります。「女性の人権侵害の際たるものと言っても過言ではない」と濱田さんは説明し、2000年に行われた女性国際戦犯法廷について紹介してくださいました。この、戦時性暴力の不処罰を断ち切るための民衆法廷は、アジア女性資料センターの設立者の一人である松井やよりさんが発案したものだということです。現在でも、多くのフェミニストが戦時性暴力の解決へ取り組んでいます。

濱田さんは“インターセクショナリティ”にも着目します。国籍、人種、障がいの有無、労働条件、経済状況、年齢、性的指向や性自認…。人はみな、様々な特性や背景を持ち、性別で一括りにすることはできません。「インターセクショナルな抑圧の問題を無視して差別の解消などできない」と濱田さんは主張し、「広い視野を持ってマイノリティの声に耳を傾けることが大切」だと教えてくださりました。

講演の終わりでは、アクティビズムにおいて大切なことを濱田さんは挙げました。まずは、世代間の擦り合わせ。世代が違うと、コミュニケーションツール、持つ知識や常識、そして経験なども異なります。これらをお互いに理解すること、または、理解できないならば、一度すべてを信頼して身を任せてしまうことが、世代を横断する運動に大事なのだそうです。また、アクティビズムではそれぞれの強い想いがぶつかりあうため、言い争いや意見の対立が絶えないこともあります。「私にも経験があります」と濱田さんははにかみ、取り組んでいる活動の目的を振り返し確認し合うことが大事だと語ります。「何のためなのか」「何を目指しているのか」などのポイントがしっかりと確認できると、前に進んでいけるとのことです。

最後に最も重要なことの一つとして、濱田さんは「セルフケア」を掲げました。活動をしていると、心が折れそうになることは多々あるけども、やはりそのような時に仲間の存在が助けとなります。「自分と仲間のために、たまにはたっぷり休憩をとって、自分を甘やかして、そして、不正義が現れたら皆でスクラムを組み、一歩も引かない」。これが、理想です。

濱田さんは、参加者の皆さんに「ここに集まったあなたたちのような素晴らしい仲間がいるから、一緒に頑張りたい」、「楽しく、そして、クリエイティブに活動を続けていってください」と呼びかけ、「私も頑張ります!」と、講演が終わりました。

濱田さんが参加する活動を「もっと知りたい!」「興味がある!」と思う方は、その一部ですが、以下のリンクをぜひ確認してみてください:

ウィメンズマーチ東京
Twitter @WomensMarchTYO
Facebook @womensmarchtokyo
メルマガ登録 https://forms.gle/JhhRbLrBa9TP4omy8

女性差別撤廃実現アクション
オンライン署名  http://chng.it/s2PdDzStZQ
ブログ  https://opcedawjapan.wordpress.com/
Twitter&Facebook @opcedawjapan
YouTube  https://youtu.be/E0s59GjnnzQ

講演の後は、質疑応答の時間です。参加者から(そして、スタッフのちゃぶじょメンバーからも!)、たくさんの質問や感想が寄せられました。

例えば、「都市部と地方部のフェミニズム運動には差があると思うが、移住された先の岩手でそのようなことを感じるか」という質問には、「コロナの影響で出歩けず、まだ岩手の運動を知ったり参加したりはできていないんですけど…」と前置きしつつ、「ゆっくりと地元に根差した運動が作りやすいように感じられます」とポジティブな意見をいただきました。

また、「コロナ禍でどのように活動メンバーと連帯できるか」という質問に対しては、やはりオンラインでの活動に濱田さんは可能性を見出しました。「このたび初めて使うようになったんですけれど、私も岩手からZoomで東京のメンバーとやり取りしています」と語り、SNSを使った活動や動画をアップロードして行うアクションなど、「いろいろできる!」と。ように動けない状況下でも積極的に活動を創り上げていく姿勢を、参加者の皆様に見せてくださいました。

ひょんなことからフェミニズムと出会い、そして、今ではさまざまな活動を牽引するアクティビストの一人となった濱田さん。その経験や想いには、私たちスタッフはもちろん、参加者の皆様も非常にエンパワーされたように思えます。些細なきっかけからでも、自分の道を見つけることができる。私たちにだって何でもできる!と、自分たちの可能性を感じさせてくれた濱田すみれさんには本当に感謝です。このたびは、本当にありがとうございました。

トークセッション 濱田すみれさん×大学生『世代をつなぐアクティビズム』

第二部では、まずは共同代表理事のさちこが過去5年間のちゃぶじょの活動を振り返りました。2015年7月に発足した当時は「普段感じているもやもやを言語化する」ことが主な活動で、まさにフェミニズムの代表的なスローガン「個人的なことは政治的なこと」を実践することから始まったとも言えます。その後、生きづらさを可視化するためのアクションリサーチ(2016年)、明日少女隊とのコラボ企画「Girls Power Parade」(2016年)、刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト「ビリーブ・キャンペーン」(2016年)、性的同意ワークショップや第三者介入ワークショップの実施(2016年〜)、「セクシュアル・コンセント(性的同意)ハンドブック」の作成・配布(2017年)など、振り返ると本当にたくさんの活動をしてきたのだと、いちメンバーとしてしみじみと感じました。

次に、「世代を繋ぐアクティビズム」と題して、早稲田大学の「シャベル」で活動してきた優さんをモデレーターに迎え、濱田さん、チェンジリーダーのともやさんとめいめいさんとのパネルディスカッションが行われました。ともやさんは一橋大学のBridge for Allという団体、めいめいさんはKnowerという団体でそれぞれ活動しています。偶然にも、ともやさんとめいめいさんは前回のブログ記事で紹介しているので、関心がある方はぜひ読んでみてください。(めいめいさんの記事はこちら、ともやさんの記事はこちら。)

パネルディスカッションでは、まずはともやさとめいめいさんが活動を始めたきっかけを話したあと、優さんからお二人に向けて、「社会運動をしているという感覚はあるのか」という質問がありました。めいめいさんは「社会を大きくひっくり返すもの」が社会運動であるというイメージを持っていたため、自分がやっていることは社会運動だと思っていなかったということですが、「社会にこう変わって欲しい、だから行動してみるということが社会運動なんだなと最近は感じる」とコメント。ともやさんは、元々NPOでの活動などもしていたため、そのようなコミュニティで様々な活動をする中で、自分は社会運動をやっているという意識が出てきたということでした。また、ともやさんは自分が活動しているローカルな場所(一橋大学)とより広い社会・世界は繋がっているという意識を常に持って活動しているとのこと。「自分が望む方向に社会を変えていくために、自分ができる範囲で行動することが社会運動である」というめいめいさんのコメントとの共通点を感じました。

ともやさんとめいめいさんから濱田さんに質問する時間もありました。ともやさんからの「若い世代のフェミニズムを見て、どういうことを感じますか」という質問に対して、濱田さんは「新しいアイディアを生むためにも、これまでのフェミニズム運動を知ることは大事」と前置きし、フェミニズムの歴史を学ぶことの重要性は押さえつつ、知識を得ることにこだわりすぎて社会運動が前に進まないのはよくない、ともコメント。知識と実践のバランスはちゃぶじょメンバーの間でもよく話題になるため、濱田さんのコメントにうなずくメンバーが何人も見られました。

めいめいさんから濱田さんへの質問は、「インターネットの普及に伴い、フェミニズムやフェミニストという言葉や概念が若い世代に知られるようになったものの、それらを敵対視する人もいる。また、フェミニスト対アンチフェミニストという構造もできてしまっている。これをどう乗り越えていけばいいと思いますか」という、フェミニズム運動に関わっている人なら悩まされることも多い問題に関するもの。これに対する濱田さんの返答は実に毅然としていて、ちゃぶじょメンバーのみならず、参加者のみなさんからも勇気づけられたという声が多くありました。

「アンチフェミニストはどの時代にもいる。私もフェミニストだと言うと、ドン引きされたり、怖い人だと思われたりしながら生きてきた。私はそれでもいいと思っている。嫌われることを恐れる必要はない。フェミニストたちの仕事は、これまでの社会の『当たり前』をひっくり返すこと。そうやって、私たちが目指す新しい社会、より多くの人が生きやすい社会を作っていきたい。フェミニスト対アンチフェミニストという構造に関しても、データがあるわけではないが、私はフェミニストやフェミニズムの考え方に共感する人が20%、アンチフェミニストが20%、まだ決めていない人・わからない人たちが60%くらいいるのではないかと思っている。その60%に働きかけていくことがとても重要だと思う」

パネルディスカッションの後は、小グループに分かれて「今日の学び」と「これからとりたい、わたしのフェミニズムアクション」について参加者同士で対話をしました。対話の時間はあっという間でしたが、「いま、自分ができることをやっていきたい」「小さな活動の積み重ねが大きな変化に繋がる」「セルフケアが大事というメッセージがとても響いた。自分を大切にしながら活動していきたい」「地元の仲間たちに、若い方々の頑張りを伝えたい」「濱田さんの、嫌われることを恐れなくていいという言葉が響いた」など、エンパワーされるやりとりがありました。

イベントの締め括りは、みんなでの写真撮影!今回のイベントは、コロナウィルスの影響もありオンラインでの開催となりましたが、普段はちゃぶじょの対面イベントに参加できない遠方の方や海外から参加してくださった方々もいらっしゃいました。また、参加者のみなさんは10代から60代にわたり、イベント後のアンケートでは「若い方がこんなに熱意をもって活動されていることを知りすごいなと思いました。」「社会を変え続けていきたいです!」「元気をもらいました。」「様々な方が参加していて、多様な意見に触れることができて有意義であった。」「自分からもっとアクションを起こしてみたいと感じました。」など、とても嬉しい感想をいただきました。

日曜日の夜ににかかわらず長時間お付き合いしてくださった参加者のみなさま、ご講演くださった濱田すみれさん、チェンジリーダーのみなさま、改めまして、ありがとうございました。

第二部の濱田さんのお話で、今はインターネットの普及もありフェミニズムに関する情報へのアクセスも以前と比べ物にならないほど容易になっているという文脈で「今はみなさん、恵まれていますよ」というお言葉がありました。もっと短い期間で考えても、ちゃぶじょが活動を始めた2015年と比べると「フェミニズム」という言葉を耳にする機会は断然増えたと感じています。本イベントを通じて、これからもちゃぶじょは、より多くの人が生きやすい社会を目指して、セルフケアもコレクティブケアも大事にしつつアンチフェミニズムに対抗し、できるところから変化を起こし続けていこうと改めて思いました!

Written by さき & もえ

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