ちゃぶじょチェンジ・リーダー・プログラム「1日集中ワークショップ」レポート

 「自分自身のコミュニティから、性差別・性暴力のないジェンダー平等な社会を作っていきたい!」そんな想いを抱える学生を対象に、ちゃぶじょは昨年度から「チェンジ・リーダー・プログラム」(以下「CLP」)を開催し、学生たちがコミュニティで同志を集めてアクションを起こすサポートをしました(※皆様の温かいお力添えによって、CLP2021は無事今年2月19日に全てのプログラムを終えました。改めて応援してくださった皆様へ感謝申し上げます。誠にありがとうございました。)。

2回目となる今年度のCLP2021では、プログラムをPhase1とPhase2の2段階に分けて実施をしています。学生たちは、Phase1でジェンダー問題に関する基礎的な知識を学び、現在真っ只中のPhase2で、効果的に変化を起こす手法「コミュニティ・オーガナイジング」を学びながら、自身のコミュニティで実際に性差別・性暴力をなくす活動に取り組みました。

今回は、2022年2月5日に開催されたPhase2のカリキュラムの1つ、「1日集中ワークショップ 〜チームを立ち上げ、戦略を作ろう〜」のレポートをお届けします!

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ワークショップは朝9時にスタートし、6大学から集まった総勢28人のチェンジ・リーダー(CL)とスタッフたちでZoomの画面が賑やかになりました。

まずは、ちゃぶじょのかなこが、コミュニティ・オーガナイジング(以下「CO」)とは何か?について、スイミーの例を使って説明。スイミーたち小魚は、一匹一匹は小さくて大きな魚に勝てませんが、みんなで力を合わせて、敵の魚を追い払うことができました。黒いスイミーが目、赤い小魚が身体と役割分担して大きな魚に立ち向かったように、それぞれが持つ個性を生かしながら、小さな力を集めて大きな力を作ることが、COの本質です。

今回のワークショップでは、学生チームが5段階のステップを踏みながら、チームを立ち上げ、より強固なものとしていきます。第一段階では、メンバーで「価値観と想いの共有をし、次に「コアチーム立ち上げ」として目的にチームの共通項を探し、活動目標を作ります。そして「戦略」では、最終的なゴールと課題の解決方法を言語化し、「仮説」と「タイムラインの作成」を通して今後の活動を具体化しました。

ワークショップ最初のセッションでは、価値観と想いの共有がテーマでした。同志(課題に直面している当事者で、一緒に活動する仲間)と共にゴールへと向かっていくためには、お互いの「私がこのテーマを大事に思ったストーリー」を語り合い、価値観を共有することが重要です。学生たちはチームごとにブレイクアウトルームに分かれ、それぞれのストーリーを語る練習をしました。

デジタルチームさきはAチームにお邪魔して、メンバーの「ストーリー」に耳を傾けました。メンバーによって、ジェンダー問題に関心をもったきっかけや時期は様々。例えば、早くに社会の違和感に気づいたというメンバーは、「母が家事を担う家庭で育ったことで『母親の役割』」について考えるようになった」というきっかけを語ってくれました。一方、「大学に入るまでジェンダーに興味は無かったが、研究室でフェミニズムに出会い、自分が専攻する分野におけるジェンダー格差に気がついた」というメンバーもいました。

デジタルチームさきは皆の「ストーリー」を聞いて、多様なバックグラウンドを持つ学生たちが、共通のゴールを掲げ、今ここに集まっているという事実に胸が熱くなりました。

チームでのワークが終わり、メインルームに戻ると、他のチームメンバーからも「メンバー間で話す機会が普段なかったから、意外な話が聞けて刺激的であった」、「それぞれの経験が知れてよかった」との感想がありました。

次のセッション「コアチーム立ち上げ」では、機能するチームの3つの条件(境界がある、安定している、多様性がある)、3つの決定(共有目的、明確なノーム、相互依存の役割)、3つの結果(意図したゴールの達成、チームの能力向上、個人のリーダーシップの成長)を確認。そのあとは、各大学のチームで再び分かれ、それぞれの共有する価値観と関心・資源を洗い出し、チームの目的を一文に表した「共有目的」、チーム名とチャント(チームの掛け声や決めポーズ)を決める時間となりました。

ここでオブザーブしたBチームでは、共有する関心として、はじめに「ジェンダー」が挙がったのですが、コーチから「もう少し明確にしてみよう」との提案が。そこで、「まだ勉強したばかりで詳しくないけど・・・」という声も上がりつつも、「男女間の不平等」、「固定的な性の価値観」、「クォーター制などの政治分野におけるジェンダー問題」など、関心を深掘りすることができました。「ハンディキャップや障害など、目に見えない部分にアプローチをしたい」という具体的な話も出てきました。

次に、「共有目的」を一文にしていきます。コーチから「理想とする世界はどんな世界だろうか?」、「理想の世界の実現を妨げる問題の当事者の人は誰か?」、「その同志たちの力で、目指す変化のためにどんなことができるだろうか?」などオーガナイジングにとって重要な質問が問いかけられました。これを受けて、メンバー間で擦り合わせを行い、最終的に価値観を反映した一文にすることができました。

そして、チーム名とチャントを考える頃には、メンバー間の緊張もほぐれ、大分和気藹々とした雰囲気になってきました。

メインルームに戻り、それぞれのチームが発表したあと、CLからは「元々チームとしての形はあったが、お互いについて知らないことも多く、自分たちの価値観をちゃんと共有できたことが大きかった」との意見が聞かれました。

次は、「戦略」のセッションです。ここでは、最終的なゴールに辿り着くために、同志とともに、いつまでにどのような戦略的ゴールを達成するかを決めます。

デジタルチームさきは、ここではチームCにお邪魔しました。皆が披露したチャントを見て、チームメンバーの仲の良さが伝わってきました。

まずは「同志」を掘り下げるところからです。コーチから、チームCが同志とする人たちは具体的にどんな問題に直面している人たちかという点について、自分自身が抱えた問題から掘り下げてみる提案がありました。すると、「大学入学時のサークル勧誘で、いつも新1年生の女性が男性から無理矢理引っ張られ、怖い思いをしている」、「友人が、クラブに遊びに行っただけで変な噂を流された」、「女性の学生は、1年生はチヤホヤされるが、学年が上がると「価値がなくなる」という風潮がある」など、CL自身がキャンパス内で経験した様々なエピソードが出てきました。

そこから「では、なぜ問題は解決されないのか?」という問いには、「性暴力についての知識がある人がいないから」、「学校や家庭での幼少期からの刷り込みのせい」、「力関係や風潮、空気のせいで声が上げられない」などの意見が挙がりました。

最後に、「問題解決のためにどんなことができるのか?」という質問に対し、「知識を広げるための活動」、「大学によるガイダンス」、「権力を持つ人(先輩や先生)側への教育」など、たくさんのアイディアが出てきました。

メンバーたちは、今まで抱えていた想いはたくさんあるけれども、その言語化には少し戸惑っている・・・といった様子でしたが、コーチの問いに1つ1つ丁寧に答えることによって、自分たちが戦略を作り上げるために必要なベースについて、一通りの整理ができたようでした。

他のチームのCLからは「今まで皆意識や関心がバラバラだったけど、今回、言葉にしてきていなかった部分が分かった」といった感想も挙がりました。

午後の部では、戦略をする上で欠かせない「仮説」と「タイムライン作成」について話し合いました。

「仮説」のセッションでは、まず「仮説」を定義づけ、なぜ「仮説」が重要なのか、またいつ仮説を使うのか、をクイズ形式や実例を用いて考えました。「仮説とは状況に応じて戦略を立て直しながら進めることで、どんなに強い相手や情勢でもそれに立ち向かうには、多種多様な関係性や資源を含めたマッピング(=仮説)を練ることが重要」とかつらこんさんは紹介しました。またかつらこんさんは、立ち向かうための「力」には、お互いに必要なパワーを作ること、そして資源を使い、他人が持つ力に挑むことの2種類があり、それらをうまく使いこなしていくために、仮説が重要だと説明しました。CLからは、「そういえば仮説って私たち立てていたっけ?」「確かに重要だよね」「難しそう」との意見が聞こえました。

仮説をみんなで学んだ後は再びそれぞれのチームに分かれて、それぞれの戦略に仮説を組み込みます。

デジタルチームみさきはDチームにお邪魔しました。Dチームでは、まずどこに自分たちの活動をアプローチすべきかについて話し合い、仮説を立てました。それぞれの社会でマイノリティを理解してもらうには、やっぱり教育機関や行政にアプローチした方がいいよね、という意見に全員一致で賛成。その後、どう教育機関や行政にアプローチすべきかについて、「教育機関での講師講演会実施」「行政を通じて多くの人権教育会の人に授業をやってもらう」などの意見が上がり、アプローチ実践のマッピングができました。

またFチームでも教育機関へのアプローチの仕方の仮説を立てていました。Fチームは大学の必修授業の中で性的同意・第三者介入の方法を含む包括的性教育のワークショップを実施することをトピックにし、学部長やカリキュラムを作る課にアプローチすることを話し合いました。

そして最後のセッション「タイムラインの作成」。仮説でアプローチの仕方を出し合ったものを成功させるには、どういうスケジュールで動くかが明らかになっていることが重要だということです。そこでCLPでは時系列で、①1つ目に達成すること、②最終的に達成することを出し合いました。それぞれのチームで活動期間の確認、達成するまでの活動内容の洗い出し、最終的に目指したいゴールの再確認、などを話し合っていました。タイムラインを作成した後は、「決まってよかった」「今までタイムライン作成など、きちんと話し合ってこなかったから、とてもタメになった」などの意見が聞こえ、みんなスッキリした様子でした。

そして8時間のCLPセッションは終わりに近づいて、振り返りや学びの時間がやってきました。「明確化することができた」、「形が見えてきた」や、逆に「参加者の中では共有できているけど、チームの他のメンバーに、どう説明するか?みんなも同じ気持ちで乗ってきてくれるかな?」などの声も聞こえました。

しかし、参加者の気持ちは参加前よりももっと前向きで、みんなのワクワクする顔が見れました。8時間切磋琢磨して話し合った仲間と離れるのが寂しくて、放課後として残ってディスカッションしている参加者もいました。

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