今年はどんな1年だった?ちゃぶじょと2021年を振り返る

1年間のフェミニズムやジェンダー関連ニュースをまとめて振り返る「ちゃぶじょと1年を振り返る」記事シリーズも、執筆を始めて今年で3年目(去年一昨年の記事もぜひチェックしてみてください!)。ちゃぶじょにとって、もうすっかり毎年恒例行事となりました。こうして今年もまた皆さんにニュースのまとめをお届けできることを大変嬉しく思っています。

気がつけば2021年も今日で最後となりました。時の流れは早いものです。

昨年に続き、今年も新型コロナウイルスが猛威を振るい、私たちの生活は多大な影響を受けました。ちゃぶじょメンバー一同、コロナにより​​亡くなられた方々、またそのご家族、周りの方々に謹んでお悔やみ申し上げ、罹患された方々にお見舞い申し上げます。1日でも早く事態が収束し、私たちに再び日常が戻ることを心から願っています。

そして、今年も例年のように、たくさんのフェミニズムやジェンダーに関連する出来事がありました。遺憾ながら、失意を感じざるを得ないような出来事もありましたが、それと同時に、社会をジェンダー平等達成へまた一歩進める、喜ばしい出来事も多々あったのではないかと思います。強い信念を持ち、勇気ある行動で私たちにエンパワメントをもたらしてくださった方々に敬意を表します。

明日から始まる新しい年、2022年も、多くのフェミニズムやジェンダーに関連する出来事が起こるでしょう。きっと困難に直面することもあると思います。しかし、来年も手を取り合い、ジェンダー平等というゴールに向けて皆様と共に頑張っていきたいと思っています。

皆様にとって2022年が素晴らしい年となりますように!

LGBTQ+

同性婚訴訟 札幌地裁判決

3月17日、札幌地裁は、同性愛者に対して婚姻の法的効果の一部すらも享受する法的手段を提供しない民法や戸籍法は法の下の平等を定める14条に違反すると判断を下しました。

第2次世界大戦後に制定された日本の憲法には、婚姻は「両性の合意のみに基いて成立する」とあり、世界の主要7カ国で同性婚を認めていないのは日本だけ。2015年以降、日本各地で同性カップルに対し結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ証明書」を発行する自治体が増えてきたものの、日本ではなお同性婚に対して保守的な態度が根強い状況です。しかし、今回の判決は、日本における同性婚実現に向けた大きな一歩となりました。

国内初のトランスマーチ

11月20日に東京都新宿区で、国内で初めてトランスジェンダーの人権と尊厳を訴えるパレード「トランスマーチ」が行われました。トランスジェンダーアクティビストの浅沼智也さんと畑野とまとさんが企画し、「国際トランスジェンダー追悼の日」である11月20日に合わせて開催された今回のマーチでは、約400人が集い、日常生活での差別や排除撤廃を訴えました。

LEGOが「男児向け、女児向け」の表示を廃止、性の固定観念を排除

世界最大の玩具メーカーであるレゴ(Lego)は、今後の製品やマーケティングからジェンダーの偏見や有害な固定観念を排除することを発表しました。

製品に埋め込まれた「ジェンダーのステレオタイプ」に阻まれず、よりインクルーシブな玩具で子どもたちの創造性を高めていきたいということです。

オーストラリアの新『バチェロレッテ』はバイセクシュアル、候補者は男女両方に

1人の女性が、多数の男性の中から真実の愛を1つ見つけ出すまでを追う番組「バチェロレッテ」。世界中で大人気のリアリティ番組シリーズですが、オーストラリア版ではバイセクシュアルである主人公を新たに起用。恋人候補には、男女両方が登場することになり、恋愛リアリティ番組業界に新しい、前向きな変化がありました。

ケータイ絵文字に「妊娠した男性」が追加、ネット上に称賛の声

各種スマートフォンに新しく採用される絵文字に、「妊娠した男性」の絵文字が追加予定です。「妊娠男性」の絵文字は、口元にひげを生やした男性の横向き姿が表されており、にこやかな表情で手を添えた腹部は大きく膨らんでいます。髪型、ひげ、服の色違いで2パターンあり、それぞれ肌の色が6種類用意されているため、妊娠男性の絵文字が12種類追加されることとなります。

世界中で称賛する声も聞かれ、世界では日に日にジェンダーフリーな思想が浸透していると絵文字からもうかがえます。

男性でも女性でもない「性別X」のパスポート、米国務省が初発行

10月27日、米国国務省は、パスポートに記載する性別を申請者が自分で選べるようにすると発表し、申請者が選択した性別が他の身分証明書に記載された性別と異なる場合でも、診断書の提出は求めないとしました。

米国では少なくとも20州と首都ワシントンが、州発行の身分証明書などで同様の変更を行えるほか、同様のジェンダーインクルーシブパスポートはカナダやオーストラリア、ニュージーランドでも発行されています。

米国初のトランスジェンダー大将が就任

レイチェル・ルヴィーン氏は、新型コロナウイルスのパンデミックといった保健危機や自然災害などに対応する武官組織、保健福祉省公衆衛生局の武官組織の大将(Admiral)に就任しました。トランスジェンダーを公表している人が大将に就任したのは、米国史上初めての出来事です。

「DSD規定」により陸上女子400メートルには出られなかった2選手、200メートルを快走

 東京オリンピックでは、世界陸連の規定(DSD規定)により、性ホルモンの血中濃度が高いことが理由で得意種目に出場できず、参加できる出場種目へと変更して東京五輪を完走した選手がいました。

テストステロンの血中濃度は一般的に、男性の方が女性より高いとされており、陸上では、生まれつきテストステロンの血中濃度が高い女子選手は、女子400~1600メートルに出られない規定があります。選手らは人権侵害を訴え、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に申し立てをしましたが、「新規定は差別的だが、選手間の公平性を守るためには必要」との理由で棄却されました。日本内分泌学会評議員の鹿島田健一・東京医科歯科大講師は「出生時からの性でスポーツへの参加を否定された場合、自身の性への尊厳のダメージが心配だ」と指摘しています。

サッカーの横山久美選手、トランスジェンダーを公表

米ワシントン・スピリットで活躍する女子サッカー選手、横山久美選手が自身のTwitterでトランスジェンダーであることを公表しました。このカミングアウトで、米国大統領バイデン氏は「私はあなたたちの勇気をとても誇らしく思う。あなたたちのおかげで、世界中の数え切れないほど多くの子どもたちが、自分自身に対して新たな見方をするようになった」とコメントしました。

スウェーデンで初のトランスジェンダー閣僚

11月30日、スウェーデンで同国初のトランスジェンダー閣僚となるリナ・アクセルソン・キルブロム氏が学校相に任命されました。

男性として生まれ、20代で性別適合したキルブロム氏は、過去には学校校長と弁護士を務めました。

「未成年の子なし」要件は合憲 戸籍の性別変更―最高裁

11月30日、戸籍上の性別変更(性同一性障害者性別特例法により特定の条件を満たせば戸籍の性別表記の変更が認められること)をめぐり、未成年の子がいないことを要件とする性同一性障害特例法の規定が憲法に反するかが争われた家事審判の特別抗告審で、最高裁第3小法廷は1日までに、「規定は合憲」として申し立てを棄却する決定をしました。

要件は、性別変更が家族秩序に混乱を生じさせたり、未成熟な子の福祉に影響を及ぼしたりする可能性に配慮して規定されたものと指摘されています。

このことに対し宇賀克也裁判官は、「未成年だから混乱する」という理屈は抽象的で、戸籍を外見に合わせられず就労などで支障が出れば「かえって子の福祉を害する」と述べ、憲法13条が保障する「自己同一性を保持する権利」を侵害すると反対の意見を述べています。

東京都、同性パートナー制導入へ 22年度内に

12月7日、東京都は性的少数者のカップルを公的に認める「同性パートナーシップ制度」を2022年度内に導入する考えを明らかにしました。

都道府県でパートナーシップ条例を導入しているのは茨城など5府県。今後の各都道府県での同性パートナー制導入に期待です。

チリ、同性婚法案を圧倒的賛成で可決

12月7日、チリは結婚の平等を認める「同性婚」の法案を可決しました。チリでは、同性パートナーシップ制度にあたるシビルユニオンが2015年に法制化されていますが、結婚と同等の制度ではなく、養子縁組など、認められていない権利もありました。法案施行後は、同性カップルも養子縁組が可能になり、相続などのルールも整備される見通しです。

同性婚はこれまでに30の国や地域で法制化されており、チリが加われば31番目となります。中南米ではアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、コロンビア、コスタリカやメキシコの複数の州で婚姻の平等が認められており、チリに住む多くの人がこの可決に喜びました。

 

性犯罪、性暴力、ハラスメント

名古屋入管でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡 

名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が3月6日に亡くなりました。事件をめぐり、ウィシュマさんの遺族は、死の真相解明や損害賠償を求めて、年明けにも国を相手取り、裁判所に訴える方針です。

また、ウィシュマさんは生前に元交際相手の男性からのDV被害を訴えていましたが、入管側は被害者対応を怠っていたとされています。家庭内暴力(DV)被害者支援などに取り組む団体は、入管法やDV防止法の改正を求めています。

世界各地でフェミサイド 国内でも事件が発生

ロンドンで帰宅途中のサラ・エヴァラードさんが失踪し、遺体となって発見されたニュースが3月に報じられました。また、メキシコではここ数年、女性を標的とした殺人事件が毎年10~20%の水準で増えてきていると報道されています。

日本も例外ではなく、今年は「フェミサイド」と指摘される事件が相次ぎました。

6月、東京都立川市のホテルで男女2人が殺傷された事件が発生し、19歳の少年が逮捕されました。

また8月には、小田急線の電車内で乗客10人が刺傷される事件が発生。逮捕された36歳の男は「6年ほど前から幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思うようになった」と供述していました。これらの事件を受けて、「フェミサイド」というワードが国内の複数のメディアで報じられました。

教育職員による性暴力の防止法が成立

2021年の通常国会において、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が制定されました。

制定の背景として、近年わいせつ行為などにより処分を受けた教職員等の数が増加傾向にあることが挙げられます。また、わいせつ行為で懲戒免職処分を受け、教員免許状が失効しても、現行の法律では処分から3年を経過すると再び免許状の授与を受けられること、再び教員になれることも問題視されていました。

スペインで女性の隠し撮り 判事が被害者の訴えを棄却し抗議デモも

北西部セルボで毎年開かれる「マルクサイナ」という祭りで、公衆トイレの不足が理由で路上で用を足した女性が隠し撮りされ、ポルノ動画サイトに投稿される事件がありました。被害者の数は約80人にものぼります。

被害女性の訴えを判事が二度にわたり棄却したと報じられ、抗議デモ「#XustizaMaruxaina (マルクサイナに正義を)」が起こっていると報じられました。被害女性たちは、セルボがあるルーゴ県の裁判所に再度上訴する予定です。

SNSで中傷中傷を受けた女性らのグループ「オンライン・セーフティー・フォー・シスターズ」発足

標的になりやすい女性や性的少数者など、SNSでの誹謗中傷に苦しむ人々の被害を広く伝え、ヘイトスピーチの根絶に取り組む女性たちグループ「オンライン・セーフティー・フォー・シスターズ」が10月に発足しました。

メンバーは「#KuToo」運動を始めた俳優の石川優実さん、コラムニストの伊是名夏子さん、市民活動家の菱山南帆子さん、編集者の山田亜紀子さんです。

11月から全国のワンストップ支援センターが24時間対応可能に

全国にある「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」のうち、24時間体制になっていなかった26道府県について、内閣府が11月までに夜間・休日向けのコールセンターを設置しました。全国共通の短縮番号「#8891」か各都道府県の支援センターに直接電話をすると、転送される仕組みになっています。

伊藤詩織さんへの名誉毀損で被告に損害賠償命令

ジャーナリストの伊藤詩織さんへの名誉毀損で投稿者に損害賠償を求めた裁判が行われました。東京地裁は7月6日、元東京大学大学院特任准教授の大澤昇平氏に対し、慰謝料など33万円の支払いと投稿の削除を命じました。また11月30日には、ツイートをした漫画家のはすみとしこ氏に88万円、はすみ氏の投稿をリツイートした2人にそれぞれ11万円の支払いを命じました。

11月30日の判決後に記者会見した伊藤さんは「判決は大きな一歩だと思っている」と述べました。

 

ジェンダー平等

2021年ジェンダーギャップ指数発表 日本は156カ国中120位

3月、世界経済フォーラムが毎年公開している「ジェンダー・ギャップ指数」の2021年度版が発表。日本は2020年度から数値も順位もほぼ横ばいの120位という結果になりました。

ジェンダー・ギャップ指数は、政治・経済・教育・健康の四つの面における男女格差を数値化したものです。例年、日本では、政治・経済分野における女性参加の低さが著しく、ジェンダーギャップ指数の結果も低迷してます。2021年度の発表においても、例えば閣僚の男女比(政治分野)は女性の数が男性の数の10%で世界139位、幹部・管理職従事者の男女比(経済分野)は女性の数が男性の数の14.7%で126位と、低い数値が目立ちました。

衆議院議員女性比率が9.7%へ減少

10月31日に投開票された衆議院選の結果、今期の女性衆議院議員数が465人中45人(全体の9.7%)となりました。

政府が国政選挙等の候補者を2025年までに35%に引き上げる目標を掲げたり(第5次男女共同参画基本計画)、各政党の男女の候補者を均等にする努力義務を課したり(政治分野における男女共同参画推進法)と、政治に関わる女性の数を増やそうという社会の流れとは裏腹に、前回(2017年)の衆議院選結果の10.1%を下回ってしまう結果となりました。

自民党 党の主要会議に女性を「招く」が「発言権はなし」

2月、自民党の二階幹事長が党に所属する女性の国会議員を党の役員会や総務会にオブザーバーとして出席させる提案をし、物議を醸しました。問題となったのは、女性起用策の一環としてこの提案が上がったにもかかわらず、会議に出席する女性議員には発言権がなく、あくまで見学としての出席が認められるという点です。

こうした形だけの女性参加に対し、党が多様性を尊重しているというアピールにすぎないのではないかという意見や、まさに女性は静かに話を聞いていればいいという性差別の表れだという意見も上がりました。

IOC 森会長 女性蔑視発言で辞任

2月、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会元会長の森喜朗氏が、「女性がたくさんいる会議は時間がかかる」といった旨の発言をしたことから、組織委会長を辞任しました。この発言は、女性に対する根拠のない偏見に満ちた発言であると同時に、オリンピック・パラリンピック憲章の差別を禁止する精神と反するという点で、国際オリンピック委員会や国外メディアなどからも批判されました。

合わせて、森喜朗氏の「(組織委員会メンバーの女性は)7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて」という発言は、会議に入る女性はしゃしゃりでずに立場をわきまえるべきだ、という女性蔑視発言であるとして反感を買いました。翌日、Twitterでは「#わきまえない女」という言葉がトレンド一位になるなど、国内でも広く批判されました。

夫婦同姓制度 最高裁にて合憲と判断

6月、最高裁にて、夫婦別姓を認めない法律の規定が合憲と判断されました。現在の日本の民法と戸籍法では、夫婦は婚姻時にいずれか一方が姓を改めなければいけないとされています。法律上では男性と女性のどちらが姓を改めても良いとされていますが、実際には96%の場合に女性側が姓を変更しています。国連の女性差別撤廃委員会は、こうした法律が差別的であるといった勧告を日本政府に送っています。

今回の憲法判断では、憲法13条、14条、24条に照らして、こうした夫婦別姓を認めない制度は憲法に違反しないとの判断がなされました。合憲と判断された理由としては、現行の夫婦同姓制度に一定の合理性があるという点が主に挙げられており、夫婦の姓に関する問題は、現行制度が憲法に違反しているかどうかを司法で判断するのではなく、国会において国民の意見などを踏まえ民主的に議論されるべき問題だと述べられました。

しかし、15人の裁判官のうちの4人はこの制度を違憲と判断しており、夫婦同性の強制は婚姻の自由を制約しているとの意見もありました。

アメリカ 女子生徒のアルバム写真を同意なしに編集 制服規定に物議

アメリカ・フロリダ州の高校は、学校アルバムに映る女子生徒の胸元や肩部分の肌を隠す加工を生徒の同意なしに施したことで、大きな抗議の的となりました。

アメリカをはじめとした欧米諸国の中学や高校では、女子生徒にのみ肩の出るトップスや丈の短いズボンの着用を禁止するルールがあることが多く、近年批判を浴びてきました。批判の理由として、男子生徒には同様のルールがないことや、女子生徒の着用を禁止する理由として「不適切だから・勉強に集中できない生徒が生まれるから」という理由を学校側が出すことなどがあります。「そうした服装を見て性的関心をもち、勉強に集中できない生徒がいたとすれば、それは女子生徒側の問題ではなく、集中できないと感じる生徒側の問題だ」と世界各地で服装の自由とルールの公正な改正を求める声が上がっています。

今回の写真の編集に対しても、生徒らは学校側が自信の写真に対して「性的である」「不適切である」と判断したことに対する不快感を著しました。

タリバン 女子教育を制限

8月にアフガニスタンで実権を握った武装勢力タリバンは、実質上女子生徒を教育から排除しました。

タリバンは、政権発足後「イスラム法の枠内」でアフガニスタンの女性の権利を認めると発表。しかし、その実情が、女性の学校進学を禁じていた2001年までの旧タリバン政権時代よりも広く権利を保証するものとなるかはまだ結論が出ていません。

9月に学校を再開したタリバン政権は、男子生徒のみの登校を認めており、6年生よりも上の女子生徒には安全な環境が整うまで一時的に登校を制限するとしています。以降、首都カブールをはじめとした多くの都市で女子の通える中学校や高校は閉鎖されたまま3ヶ月以上が経っており、実質上、女子生徒は教育現場から排除されているといえます。

 

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)

生理の貧困

経済的な理由などで生理用品を十分に入手できないことを指す「生理の貧困」に対する支援が地方公共団体や支援団体で広まっています。

5月、内閣府が初めて「生理の貧困」に係る地方公共団体の取り組みに関する調査を実施しました。第2回目となる同年7月の調査結果によると、「生理の貧困」に係る取組を実施している地方公共団体の数は1741団体中581団体でした。

東京都は、9月からすべての都立学校で女子トイレに生理用品を配置することを決めました。

これからも先駆的に取り組んでいる自治体を参考にして、日本各地で「生理の貧困」に対する支援が広がることを期待します。

人工妊娠中絶をめぐる問題

9月1日、テキサス州で妊娠6週目以降の中絶を禁止する州法が施行されました。

この州法は「妊娠6週目以降の中絶」を禁じるもので、性的暴行や近親相姦による妊娠にも例外を認めません。翌月、この法案は一時差し止められましたが、12月に米連邦最高裁は存続を認める判断を下しました。同法の効力継続を認める半面、中絶に協力した医療関係者らが医療機関の許認可権を持つ州当局を相手取って提訴することを認めており、法廷闘争は今後も続く見通しです。

一方、メキシコでは、最高裁判所は9月7日、北部コアウイラ州が人工妊娠中絶に刑事罰を科すのは違憲との判断を全員一致で下し、同州に対し、州刑法から中絶に関する制裁を撤廃するよう命令しました。これにより同州では、中絶を受けた女性を起訴できなくなり、メキシコ全土で中絶の非犯罪化が進む可能性があります。

さらにコアウイラ州は、先に妊娠6週目以降の中絶を禁じた米テキサス州と国境を接しているため、同州の女性に合法的な中絶を行う受け皿になるとの指摘もあります。

ルイス・マリア・アグイラル判事が今回の判決について「女性の権利における歴史的な一歩だ」と述べているように、2021年は人工妊娠中絶を厳しく制限していたメキシコの歴史が大きく動く1年となりました。

コンドームを同意なく外す「ステルシング(stealthing)」 米カリフォルニア州が違法に

10月、カリフォルニア州は同意なしにコンドームを外す「ステルシング(stealthing)」と呼ばれる行為を違法とする州法案を成立させました。法案は与野党が共に支持し、ステルシングは性的暴行に相当すると位置づけました。

HPVワクチン「積極的勧奨」再開

​​厚生労働省は11月26日、HPVワクチンの積極的勧奨を2022年4月から再開することを自治体に通知しました。

HPVワクチンは2010年から公費による助成が始まり、2013年から小学校6年生から高校1年生の女子を対象に公費で打てる定期接種となっていました。しかし、マスコミが因果関係が明らかでない接種後の症状を「副反応」としてこぞって報道するようになり、安全性への不安が拡大しました。HPVワクチンが定期接種として認められたわずか2ヶ月後、厚生労働省の通知により自治体から対象者へ個別の案内が送付されないようになりました。これにより、接種率は一時1%未満にまで激減しました。

積極的勧奨が中止されてから8年半が経った2021年、ワクチンを巡る研究成果、支援団体や医療職者の努力によりやっと積極的勧奨が再開されました。

また、12月、厚生労働省は積極的勧奨を中止していた期間に無料で接種できる年齢が過ぎた女性を公費接種の対象に加える方針を決めました。これにより、1997年度生まれから2005年度生まれの女性は2022年4月から3年間、予防接種法に基づく定期接種の枠組みでHPVワクチンを無料で受けることが可能になりました。

乳児遺棄を巡る問題

9月、流産した赤ちゃんを自宅に遺棄したとして香川県の夫婦が逮捕されました。妻は妊娠に気づいておらず夫婦は金銭的に余裕がなく受診をためらったと話しています。翌月、この事件は不起訴となりました。当時の妻の弁護人は「逮捕は極めて早計だった」として、10月に香川県警へ抗議文を提出しました。

また、今回の事件は不起訴となりましたが、乳児遺棄事件をめぐる問題において特に指摘されるのが、このような事件が起こった際に逮捕され社会から責められるのは母親のみで、父親の名前が公表され、逮捕されることがないことです。

例えば、愛知県で昨年6月、当時20歳の未婚女性が公園のトイレで赤ちゃんを出産し死なせ、遺棄したとして今年5月に懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡されました。

女性は、相手男性からの連絡が途絶え、中絶の同意書にサインが得られないまま中絶可能時期を過ぎたため手術を断られたと証言しました。

乳児を遺棄してしまった母親には、貧困、障害、孤立といった背景があり、誰にも相談できずに乳児遺棄に至ったというケースが多くあります。そのため、母親を責めるのではなく、中絶に関する法律や緊急避妊薬や経口中絶薬など意図しない妊娠を防ぐ手段を早急に整備し、妊娠・出産に関わるあらゆる人の権利を守ることが大切なのではないでしょうか。

「飲む中絶薬」申請へ

英製薬企業ラインファーマが人工妊娠中絶できる経口薬について、12月内に厚生労働省へ承認申請する見通しです。順調に進めば1年程度で承認される見通しで、女性にとって負担が少なく、より安全な選択肢が加わることになります。

中絶薬は世界70カ国で使われていますが、日本における中絶方法は金属製の器具で子宮内からかき出す「掻爬(そうは)法」が中心です。世界保健機関(WHO)は、薬による中絶を「安全かつ効果的であることが立証されている」と評価する一方、掻爬法を「安全性に劣る時代遅れの中絶法」と指摘しています。

日本では、​​2020年に約14万5000件の人工妊娠中絶が行われました。日本における人工妊娠中絶件数は減少傾向にありますが、2020年は1日あたり397件中絶が行われた計算になります。決して少ない数字とは言えず、多くの女性が中絶に至るまでに様々な葛藤があっただろうと考えられます。人工妊娠中絶を選択する女性の負担を少しでも減らすために、世界基準の安全で効果的な人工妊娠中絶の選択肢を増やすべきだといえるでしょう。

緊急避妊薬(アフターピル)

緊急避妊薬(アフターピル)は、性行為から72時間以内に服用すれば、80%以上の確率で妊娠を防げるとされています。現在、日本で緊急避妊薬を手に入れるには、産婦人科などを受診して、医師の診察を受けなくてはなりません。

緊急避妊薬を必要としている人が確実に入手できるようアクセス改善を求める声が高まっている中、今年10月に意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」を医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにするかどうかについて、本格的な議論が始まりました。検討会では、薬局での販売を求める女性たちの団体と、慎重な姿勢を示す産婦人科医の団体がそれぞれ意見を述べました。

厚生労働省は海外の状況について調査を行ったうえで来年2月を目途に次の検討会を開き、論点を整理することにしています。

緊急避妊薬は、海外90か国以上で、薬局で直接購入できます。日本でも必要な人全員が緊急避妊薬にアクセスできるような環境を早急に整えることが望まれます。

中絶や緊急避妊に関わるリプロダクティブヘルス&ライツで世界に遅れを取っている日本ですが、今年は少しずつ改善に向けて動きが見られる年となりました。

 

エンパワメントイシュー

連合 初の女性会長選出

10月6日、日本労働組合総連合会(連合)の定期大会にて、新しい会長として、これまで副会長を務めてきた芳野友子氏が選出され、1989年の連合発足以来女性初の就任となりました。連合の会長は、労働運動のけん引役としての情報発信や、経営側との交渉、政策提言や政治課題をめぐる調整など、その役割は多岐にわたります。

芳野氏は「女性が連合のトップになる意義は大きい。連合による労働運動のすべてにジェンダー平等の視点を入れていくことが私の役割で、組織の意思決定の場に女性を登用していきたい」と抱負を語り、ジェンダー平等の視点を重視し、働く環境の改善に取り組んでいく考えを強調しました。

カマラ・ハリス氏 臨時で女性初の大統領となる

11月19日、米国・バイデン大統領は、麻酔をして腸の内視鏡検査で受けている間、大統領権限をカマラ・ハリス副大統領に委譲し、これにより、ハリス氏が一時的にアメリカ合衆国大統領の権限を持つことになりました。

東京都議選 女性の当選、過去最多の41人

7月4日に投開票された東京都議選で、41人の女性立候補者が当選し、当選者のうち女性が占める割合は32%となり、過去最多を更新しました。

米ボストン市長にアジア系当選へ、女性や有色人種で初

11月4日、米国ボストン市の市長選で、アジア系の市議(民主党所属)であるミシェル・ウー氏が当選を決め、同市初の女性や有色人種の市長となりました。今回の市長選は全ての有力候補が有色人種で、その大半が女性である異例の展開ともなっていました。

COP26 にて、フェミニズム×クライメートアクションを問う

9月25日、世界的な気候危機の中で温暖化の影響を最も受けている女性のニーズが見過ごされていることから、Cop26サミット(別名:国連気候変動サミット・国連が主催する、気候変動問題への取り組みについて話し合うイベント)では女性がより大きな役割を果たせるようにしなければならないと、が英国フェミニスト連合が制度改革を求めて発言しました。英国フェミニスト連合は、Cop26は世界の気温を1.5℃に抑えることを主張し、また世界中の人々、特に最も影響を受けやすい女性や子供たちが、気候危機の影響に対する回復力をつけるのを助けなければならないと述べました。

多くの国で、女性は燃料、水、食料の調達を担っています。気候危機によってそれら資源が不足・悪化すれば、女性が最も苦しむことになることが想定されます。さらに、土地の権利もないため、気候変動による災害で家を失う可能性も高くなります。また、気候危機が女性に対するジェンダーに基づく暴力を悪化させるという研究結果もあります。

元国連人権高等弁務官、元アイルランド大統領メアリー・ロビンソンは、「私たちは、女性と少女を気候変動問題の中心に据える必要がある」と語りました。

サウジ、ノーベル平和賞候補の女性活動家を釈放…「運転動画投稿」で権利拡大唱える

2月10日、サウジアラビアで女性の地位向上に取り組み、拘束されていた人権活動家ルジャイン・ハズルールさんが釈放されました。ハズルールさんは、女性による自動車の運転が禁じられていたサウジで、自らハンドルを握る姿を撮影した動画をネットに投稿するなど、女性の権利拡大を唱えていましたが、「国家の安全を脅かした罪」などで20年12月に禁錮5年8ヶ月の有罪判決を受けました。

これを機に、サウジでは、ハズルールさん拘束後の18年6月に女性の運転が解禁されました。ハズルールさんはノーベル平和賞候補にも名が挙がり、昨年9月の国連人権理事会では、英国やドイツなど計33か国が早期釈放を求める共同声明を発表していました。

高校3年生 9月に10代女子のためのフェミニズム雑誌「RIOT(ライオット)」を創刊

ジェンダー格差が浮き彫りになる今、女子高生として感じる性差やフェミニズムへの思いを伝えるべく、高校3年の更級志織さんが編集長を務める雑誌「RIOT」を創刊しました。同誌は社会問題に関心を持ち行動する女子を取り上げ、女の子たちが連帯して行動する大切さを発信しています。

「学生でもできるフェミニストアクション」、「図書館にフェミニズムの本をリクエストする」や「国際女性デーを祝う投稿をする」など気軽にできる実践を並べ、「フェミニズムは女性の権利を拡張する楽しい運動」であることを伝えていきたいと語っています。

スウェーデン 初の女性首相誕生

11月29日、スウェーデンで与党・社会民主労働党党首のマグダレナ・アンデション氏が新首相に当選し、同国初の女性首相となりました。

 

新型コロナウイルス感染症で浮き彫りになった社会問題

コロナ禍 女性の約4人に1人が配偶者から暴力

内閣府の調査によると、2020年度のDV相談件数は19万件以上あり、2019年度の約1.6倍となりました。2020年4月から相談件数が急増しており、この時期は新型コロナウイルス感染拡大につき政府が緊急事態宣言を出した時期と合致します。コロナ禍の生活不安やストレス、外出自粛による在宅時間の増加等が関係している可能性があると考えられています。

配偶者からのDV被害が「何度もあった」「1、2度あった」人を合わせると22.5%となり、約4人に1人は配偶者から暴力を受けた経験があることが明らかになりました。また、「身体的暴行」「心理的攻撃」「経済的圧迫」「性的強要」のいずれの行為も、女性の方が被害経験者の割合が高くなっています。

DV被害を受けたら適切な相談機関に相談することが大切ですが、女性の約4割はどこにも相談していない状態が現状です。コロナ禍において家族以外の人と会う機会が減ることでDV被害が潜在化することが懸念されています。

★DVで悩んでいる方は、「配偶者暴力支援相談センター」や「DV相談+」にご相談ください。「DV相談+」では、24時間の電話相談対応、WEB面談対応、10の外国語での相談対応を行っているほか、電話ができない場合にも相談できるようにSNS・メール相談も行っています。

 

ちゃぶじょニュース

ちゃぶじょ チェンジ・リーダー・プログラム 2021がスタート!

ちゃぶじょでは、2021年8月に性差別や性暴力のない社会にするために、自分のコミュニティでアクションを起こす学生リーダーを育て、サポートするプログラム「ちゃぶじょ・チェンジ・リーダー・プログラム2021」を開始しました。

クラウドファンディングサービスを通して161人の方にご支援をいただき、無事プログラムを実現することができました。

当プログラムでは、全国24大学から応募してくださった44名の学生の方々を対象に、「ジェンダー問題に関心があるけど、何から学んだら良いかわからない」という学生や、「大学内で変えたいことがあるがどう変化を起こしていけば良いかわからない」という学生などを応援するべく、勉強会や変化を起こすためのアクションの実践サポートを実施しました。勉強会では、全6回にわたってジェンダー問題や草の根運動に関してインクルーシブな視点を身につけられるようなカリキュラムを実施。その後、フェーズ2に進む学生には、ちゃぶじょも活動の中で実践している「コミュニティ・オーガナイジング」という手法を学んでいただくことで、効果的に変化を起こすためのサポートを実施しています。

現在、フェーズ2を絶賛実施中で、参加いただいている学生たちと共に、全国の大学から性差別や性暴力をなくすべく、共に奔走しています。

 

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ちゃぶじょも今年で発足6年目となりました。来年も、メンバー同士で切磋琢磨しあい、より一層パワフルに活動していきたいと思っていますので、どうぞ皆様には見守っていただければ幸いです。

また、ちゃぶじょは随時、活動への参加に興味がある方やサポートしてくださる方を募集しています。いつでも皆様からのご連絡を受け付けていますので、お気軽にこちらからメッセージをいただければと思います。

それでは、来年もどうぞよろしくお願いします!

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