2020年6月28日 第一回港区立男女平等参画センター「リーブラ・ユース部」 「コミュニケーションを学ぶ~性的同意の観点から~」

2020年6月28日、「リーブラ・ユース部」のオンライン学習会が開催されました。
リーブラ・ユース部とは、港区立男女平等参画センター「リーブラ」が主催する、ジェネレーションZ(1990年代後半から2010年までに生まれた現在10~20代の若者)であってジェンダーに関心のある個人やグループを対象としたゼミナール形式の学習会です。
第一回目となる28日のリーブラ・ユース部に、ちゃぶ台返し女子アクション(以下、ちゃぶじょとします)の中村果南子が講師としてお招きいただき、登壇しました。

はじめに、中村は、自らが「性的同意」に関心を持った背景について紹介。自分の家庭や東日本大震災の被災者である人たちとの交流の中で感じた「自分の気持ちが無かったことにされることの悲しさ」を通し、「相手の気持ちを置き去りにしないこと」につながる性的同意の大切さを実感し、それを体現するためには「同意」のあるコミュニケーションの必要性を感じており、みなさんと学べることが嬉しいと話しました。

本学習会の第一部では、ちゃぶじょから中村が「性的同意」について話題提供をし、第二部では、一橋大学の佐藤文香ゼミ生より、昨年出版された『大学生がジェンダーについて真剣に考えてみた あなたがあなたらしくいられる29問』から身近な例を通して性差別について考えました。中村の部では、安全な場であること保つためのいくつかのルールをはじめに提示しました。それらは、この場で見聞きしたことは他言しない、心身の“しんどさ”を感じたら無理に参加しない・退出する、他者の意見や発言を否定しない…など、自分と他人を大切にすることにつながるものです。

中村は、性的行為も「同意に基づいていたら、ポジティブなもの」と表現します。しかし、同意がない性的行為は、性暴力と指摘。性暴力は、被害者にPTSDやうつ病などを引き起こすのみならず、果てには人を自死に追いやることもあります。他にも、外傷や妊娠、中絶、性病など数々のリスクを被害者に押し付けるものです。「妊娠や性病などのリスクは、同意のある関係性でも生じるもの。同意がない性的行為が行われたら、どれほどこれらのリスクについて恐怖や不安を感じるでしょうか」と、中村は問いかけます。

「性暴力って何でしょうか」。中村は、参加者の皆さんに、まずは暴力の定義について尋ねました。参加者から「身体や精神を傷つけること」、「力を持った人から一方的に行われること」などの意見が飛び交います。では、性暴力とは?ちゃぶじょは、性暴力を「同意のない性的言動」と定義します。それはレイプであったり、痴漢であったり、盗撮や覗きであったり…。セクハラや「相手の意思に反して避妊をせずに性的行為をすること」も含まれます。
性的行為が相互の尊重のもと対等に行われる行為である一方、性暴力は一方的に支配欲と攻撃性をもって搾取として行われます。「性暴力はセックスではない」と中村は強調します。
また、重要なのは、これらはカップルや婚姻関係の間でも成立するということ。さらに、性暴力は男女間だけで起きるものでもありません。性別、性自認や性的指向に関わらず、だれでも被害者、そして加害者になる可能性があります。中村は「特にみなさんは自分が被害者になるかもしれないということは想像ができるかもしれませんが、自分が加害者になる可能性についてはあまり考えない。だけど、自分が『加害者にならないために』性的同意を知ることも非常に重要」だと語ります。

同意における大切な3つのポイントは「非強制性(NOが選べる環境にあること)」、「対等性(社会的地位や力関係に左右されないこと)」、そして「非継続性(性的行為のたびに同意が確認されること)」。最近、メディアで、特に芸能人などによる性暴力事件が取り上げられると「被害者にも落ち度があった」という心無い声があがりますが、「これら3つのポイントを考慮すると、本来は『加害者が悪い』という声で占められなければならないはず」と中村は主張します。

中村は、同意のコミュニケーションを「ピザを作ること」に例えます。「他人とピザを作ることになったら、あなたは一緒に作る人にどのような質問をしますか?」と中村が問いかけると、「嫌いなものはなんですか?」、「アレルギーはありますか?」、「今、どのくらいおなかがすいていますか?」など、様々な問いかけが参加者から上がりました。どんな生地にする?味はどんなベースにする?トッピングは?共に食べるピザを作り上げるために必要なこれらの質問の本質は、性的行為でも同じです。中村はこれを、「対等な立場で、互いが積極的に参加する合意形成プロセス」と表します。

中村は最後に、「第三者介入」の重要性について説明しました。第三者介入とは、性暴力が起こりそうな場面で、第三者が間に介入することによって性暴力を予防・阻止することを指します。重要なのは、3つのD。「Direct(直接介入する)」、「Distract(気をそらす)」、「Delegate(介入できそうな他者に委任する)」です。性的同意の知識をもつことももちろん大事ですが、より重要なのは「性的同意や第三者介入の知識をアクションに移すこと」であると、中村は参加者に伝えました。

以前と比べて、性的同意の大切さは、社会において認知されつつあるのではないかと筆者も感じます。しかし、「自分が加害者にならないために必要なこと」という視点は、あまり持っていない人もまだまだ多いのではないでしょうか。また、登壇中、中村は「アクションを起こす側から同意を取る必要がある」と述べましたが、だからと言ってそれは「性的同意は必ず男性側から取るもの」とはイコールになりません。男性がリードし、女性は自分から性的行為の誘いをしないもの…といったジェンダーバイアスの撤廃のためにも、性別、性自認や性的指向に関わらず、自らが主体となって同意を形成することが大事です。中村がいうように、性的行為は、本来であればポジティブなもの。誰とどのような気持ちで性的行為をするかは人それぞれの自由ですが、すべての人が性的行為の中で悲しい思いをする・させることがないように、特に「非強制性」、「対等性」と「非継続性」を意識して、同意のもと、性的行為を楽しめれば素晴らしいことです。
自分や性的行為の相手のみならず、被害者・加害者になりそうな他者のためにも、性的同意や第三者介入について知識をもち、そして実際に実行していくことが重要であるということを改めて認識させてくれる学習会となりました。

Written by さき

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